事例紹介Haratte導入インタビュー(長野県 中野市様)

電子申請など行政業務のデジタル化は、一般的に紙とデジタルのフローの並立による事務効率の悪化が課題として挙げられています。今回は、市民サービスの向上や行政事務の効率化のためにデジタル化を推進している長野県中野市さまに、電子申請業務のデジタル化においてHaratteを選択した経緯やデジタル化推進のポイントについてお話を伺いました。

【中野市様】
企画財政課 金井 友也(かない ともや)様(DX推進担当)、会計課 高野 正知(たかの まさとも)様
【AmbiRise】
田中 寛純(たなか ひろずみ)
左:企画財政課 金井様(DX推進担当)右:会計課 高野様
左:企画財政課 金井様(DX推進担当)右:会計課 高野様

行政事務も効率化できるHaratteに惹かれた

AmbiRise 田中:電子請求については、まだ導入されている自治体も少ないと思いますが、なぜ導入検討をするようになったのでしょうか?

中野市 金井様:市民サービスの向上や行政事務の効率化等を目的として、住民手続きのオンライン申請サービスや電子契約サービス、RPAの導入などを進めてきました。今回の電子請求の導入もその1つです。
また、文書管理システムの更新に合わせて庁内事務の電子決裁導入を進めていますが、財務会計システムについては、電子化による現場の負担も懸念していました。
そのような中、県のDX推進課の担当者と会話するタイミングで、「電子請求で何かいいソリューションはないですか?」という話になり、Haratteを紹介していただいたのがきっかけです。
他にも複数のソリューションについて情報収集を行いましたが、

①三層分離のうちメイン業務があるLGWAN層に無害化を通して問題なく持ってこられるか
②市で持っている財務会計システムへ取り込む仕組みがあるか
③職員業務の効率化に繋がるような要素があるか

という評価軸で選定した結果これらの評価軸を満たし、行政事務の効率化に寄与するという点は他社のソリューションにはなく、Haratteに関心を持ちました。

企画財政課 金井様(DX推進担当)
企画財政課 金井様(DX推進担当)

AmbiRise 田中:Haratteのコンセプトは、オンライン化で外との接点を便利にすればするほど自治体内部の手間が増えるジレンマを軽減する仕組みをセットで提供することだったので、そこに興味を持っていただけたのかと思っています。

導入しやすさや、組織全体での業務効率化も決め手に

AmbiRise 田中:あと、市で持っている財務会計システムへ取り込む仕組みについて、既存の財務会計システムを改修せずに使えるところも選定のポイント、選定の決め手なのかとも思っていますが、いかがでしょうか?

中野市 金井様:そうですね。今利用している財務会計システムを特に改修することなく導入できました。導入から期間が経過したシステムなので、この先も課題は出てくると思いますが、課題が発生した際のアンビライズさんの対応の的確さ・迅速さなど、保守性の高さは安心できる特長だと思っています。
また、RPAはライセンスが1ユーザーだったり1端末だったりと制限されることが多いという印象ですが、何人で使っても大丈夫というところも、費用の負担が少なく使えていいですね。

AmbiRise 田中:ありがとうございます。実証で気を付けた点はどのようなことでしたか?

中野市 高野様:年間で処理している請求書の枚数や伝票を切っている部署がどこに偏っているかなどを改めて調べ、まずはボリュームの多い所に対応できそうだと分かってから実証をしたところです。あとは、時間が削減されることはある程度見えていたので、庁内でオーソライズするためにどう印象的な効果が出せるか、人件費換算するなど財政効果をつけてみた点ですかね。

会計課 高野様
会計課 高野様

AmbiRise 田中:普通ツールって入れると、ツールを入れた部署が便利になりますが、事業者の請求書作成がシステムで統制されることで、ツールを直接使っていない会計課さんも照合などのチェック業務を簡素化し、業務効率化を図ることができました。上流がデジタルになることで、後続の業務が手作業であっても、恩恵を受ける形は全体最適で見たときに有用なアプローチですし、DXと言えるのではないかと思います。

AmbiRise 田中:検証で時間測定した結果、Haratteを利用することでの時間の削減効果は、支出伝票を起票する課では、起票時間が1件4分から1分(4分の1)に、支出審査をする会計課では、審査時間が1件30秒から10秒(3分の1)になったという認識で合っていますか?

中野市 高野様:はい。大丈夫です。

AmbiRise 田中:ありがとうございます。逆に実証の中で期待通りにいかなかったものはありますか?

中野市 高野様:事業者さんに請求書の入力方法について、上手く説明が伝わっていなかったのか、品名に社名を書かれてしまったことがありました。ここには、これを入れてくださいというのを綺麗に分かりやすく整理してあげて、周知していくのがいいのかと思います。

AmbiRise 田中:Haratteは宛先ごとに、入力欄の必須項目や、桁数のチェックなどはシステムでできるのですが、書く内容が正しいかまではシステムで判断できないです。そこはレクチャーの必要があるということかと思いました。
事業者さんへの周知に関しては、プレスリリースと広報誌がメインになってくる形ですか?

中野市 高野様:実は広報紙の発行も予定していたのですが、今回の対象が市民ではなく、あくまで事業者さん向けのサービスであることや、Webページでも詳しく説明することから4月号の掲載は見送ることになりました。あとは、庁内周知と各課取引業者さんのお話の中で出てくるだろうとは思われますので、そのあたりから固めていければといった状態です。

導入はあくまでスタート地点、これからの浸透がカギ

AmbiRise 田中:電子請求(Haratte)導入後は、どのような展開を考えられているのでしょうか?

中野市 金井様:電子請求は「育てていくもの」と考えています。導入はあくまでスタートラインで、事業者さんへの普及や庁内業務見直しによる効率化をさらに進めていく必要があると思っています。自治体業務のデジタル化は単にサービスを入れれば便利になるという時代ではないので、自治体と企業がともにサービスの提供を通して、業務のデジタル化や地域のデジタル化を進めていくということが大切だと考えています。

AmbiRise 田中:事業者さんが検証に参加された感触はいかがでしたか?事業者さんに浸透できそうな感触はありますか?

中野市 高野様:インボイスの対応もしていかなければならないところで、事業者側は無料で利用できて業務が効率化するというのは好意的でしたね。

AmbiRise 田中:利用拡大に向けては、どの事業者を当初のターゲットにするかなどお考えはありますか?

中野市 金井様:そうですね。電子請求の利用件数が多ければ庁内の業務効率化効果が上がることは分かったので、件数が多い事業者さんから順にお話をしていければと思っています。

AmbiRise 田中:今回、検証や導入時に色々ご支援もさせていただきましたが、支援が足りない箇所はありましたか?

中野市 金井様:十分に支援をしていただいたという認識です。何か不明点があれば手厚くサポートしてくださり、特に財務会計の取り込みのところは、プログラムの修正など、かなりのスピード感でご対応いただきました。また、単にシステム導入だけではなく、導入後の効率的な業務案や課題への対応案など、業務そのものにアドバイスを頂けたのも感謝しています。
今後も課題が出てくるかと思うので、ご共有できればと思っています。

AmbiRise 田中:弊社としては、単にツールを提供するベンダーにはなりたくない思いはあったので、ありがたいです。もしまたお役に立つことがあれば、何かご一緒にやらせてもらえればと思います。

中野市様:よろしくお願いします。